ゔぇにおの日記(仮)

趣味とか日記とか 映画レビューと読書感想文多め

プライムビデオは最高っすね〜

最近全然更新していなくて、はてなブログになんか書けって怒られたのでなんか書きます。

 

プライムビデオ目当てで、最近アマゾンプライムに加入しました(お試し期間中)。せっかく学生なのでプライムスチューデントのほうに加入しているんですが、学生証の提示など全く要求されませんでした。大丈夫でしょうか...。

 

アマゾンプライムの利点は当然プライムビデオだけではなく、お急ぎ便の利用なども含まれます(本当はそっちがメインなのか?)。ボタンだけ押して「明日持ってこい」っていうのが許されるわけです。何となく王様みたいでいい気分ですね〜。

 

さて、プライムビデオの内容ですがやはりラインナップがなかなかよいです。

 

見たい映画が見放題だったりしてすごく嬉しいです。最強のふたり、TED、バットマンビギンズ、ダークナイト、マンマミーアなど...。

それから、さまぁ〜ずがすごく好きなので、さまぁ〜ず×さまぁ〜ず内村さまぁ〜ずさまぁ〜ずハウスなどが見られるのが嬉しいですね。研究室から疲れて帰ったときに頭空っぽにしてみれるので最近これらばっかり見てます。

最近自分の教養不足を痛感するので、今後は仮面ライダーtrickなどのシリーズ、ゆるキャン△などの名作アニメをたくさん履修できたらなと思っています。ただ、当然ではありますがアニメのラインナップはdアニなどには及ばず少し寂しい面もあります。

 

さて、今後はいろいろな作品が見られるようになったのでブログもぼちぼち更新していけたらと思います。

逆に、これは気持ちの問題ですが、プライム特典対象外だと見たい映画でも視聴の優先順位が下がってしまいそうな懸念もあります。ちなみに今一番見たいのは塔の上のラプンツェルで、アマプラの特典対象外です。

映画『ピーナッツ』 レビュー

町田のでかいブックオフでこの映画のメイキングDVDだけ見つけてしまい、本編が気になったのでAmazonで見てみました。メイキングだけ持っててもどうすんだよ!と思ってDVDは買いませんでしたが、今思えば買っておくべきでした。

 

概要

ダメダメ草野球チーム“ピーナッツ”の奮闘を描いた思いっきり笑えて元気になれる爽快なエンタテインメント!落ちぶれた草野球チームが、再開発に揺れる地元商店街の危機を救うため奮闘する姿を、コミカルかつ感動的に描いた青春ドラマ!個性溢れるキャラや随所に散りばめられた絶妙なギャグに大笑いしながら、男たちの友情や再生のドラマに胸がアツくなる!CGやスタントなしで出演者自身が見せるリアルな野球シーンも見どころ!

 

ウッチャンが監督主演で、さまぁ〜ずやTIM、ふかわりょうなど内Pメンバーの芸人がメインで出演しています。

 

感想

“大人の青春”っていう感じのストーリーでした。再開発問題や家族、自身の生活など大人として背負うものが大きくなった彼らが、彼ら自身のためにがむしゃらに野球をする姿はとても眩しいです。二十歳を超えると、輝いているおじさんにかなり勇気づけられます。

 

音楽はふかわりょうが担当したらしいのですが、これがものすごく良かったです。サントラが欲しいくらい。映画全体としてノスタルジックな雰囲気があるのですが、それと非常に良く合っていました。

 

メインキャラはほとんど芸人ですが、とてもいい演技だったと思います。

特にレッド吉田の演技にはとても心揺さぶられました。彼の演じる赤岩というのが心優しい良い男で、彼ら夫婦の物語が非常に愛おしかったです。

野球のシーンもノースタントらしいですが、全員すごくカッコいいプレーでした。甲子園出場経験のあるTIMは特にイキイキしていてよかったです。

 

かなりしっかりと作られた映画で、コメディでありながら大泣きしてしまいました。笑わせどころはしつこすぎず、物語を邪魔しません(そう考えると内さまの映画のギャグシーンはちょっとやりすぎかも)。さわやかなスポーツ映画ですが、登場人物がおじさんであるがゆえのほろ苦さが加わって物語に深みが出てると思います。

 

ピーナッツ

ピーナッツ

 

 

 

内村さまぁ〜ず THE MOVIE エンジェル レビュー

ウッチャンさまぁ〜ずが好きなので観てみました。内村さまぁ〜ずはネット配信されているバラエティ番組ですが、それが映画化(?)した作品です。

 

あらすじ

「エンジェル社」は、依頼に合わせてシナリオを作り、メンバーが架空のキャラクターを演じて依頼を解決する、劇団兼探偵事務所。メンバーは、代表のマサル三村マサカズ)、役者兼脚本演出の次郎(内村光良)、マサルの幼なじみで役割不明の大島(大竹一樹)、女優志望の夕子(藤原令子)、役者兼調査担当の伊東(久保田悠来)の5人。ある日「エンジェル社」にわけありげな男・中川(笑福亭鶴瓶)が訪れ、思いもよらないある依頼が舞い込む--。

 

ノンフィクションでも本人役でもなく、さまぁ〜ずをはじめとする芸人たちが普通に役を演じています。

 

感想

設定・ストーリー

コメディ要素がかなり強いですが、ストーリー自体もかなりしっかりしてると思います。

まず、劇団兼探偵事務所という設定がすごくいいと思います。ターゲットの目の前でドラマを展開し、心を動かすことで依頼を解決するというのがとても素敵です。

 

若干ネタバレ 遊園地で過去のターゲットとかち合ってしまうシーンは、エンジェルの活動を「嘘」だと断じている場面だと思います。
しかしコウタ君はマサルがパパのフリをしているという「嘘」を見抜いてもマサルを父親として愛し、マサルもまたコウタを我が子のように思い幸せを願うのでした。コウタがマサルを「本物のパパではない」と断じながらも彼への想いを綴った作文を読むシーンは、嘘が事実を超越した瞬間と言えるでしょう。
マサルがコウタ君の手紙の「ご飯を少し我慢するから〜」の部分の意味をすぐに読み取れたのはマサル自身の人を想う気持ちの強さの表れだと思います。マサルは父親を演じる代わりに彼自身として心からコウタの父親になりきってしまいました。父親のフリそのものは嘘だと断じられながらもコウタの愛を勝ち取った彼のまっすぐさは、一流の役者としての資質の証明だと思います。序盤の夕子の「これって全然女優じゃないですよね?」という問いへのアンサーもここだと思います。

 

マサルは三村よろしくポンコツなのですが、彼なりに一生懸命なシーンがすごく心に響きました。遊園地での“家族”の時間を心から楽しんでいるシーンとか、授業参観のために全力で走るシーンは特に感動しました。

 

キャストの演技について

本職の俳優は数えるほどしか出てこないので演技の面が若干不安でしたが、みんなすごくいい演技でした。彼らが演じやすいようにキャラ付けしたのだとは思いますが、ハマり役という感じでした。

さまぁ〜ずの2人はかなりいつもの感じが出ていますがすごく自然な演技でした。三村はセリフ覚えにかなり苦労したみたいですが、それを全く感じさせない素晴らしい演技でした。彼のいいお父さんっぷりは本当に感動しました。

マサルは心からコウタの父親になりきってしまいましたが、三村もまたそんなマサルに心からなりきっていたように感じます。

数多くの芸人が出演する作品ですが、セリフがあるのはごく一部だけです。かなり贅沢な芸人の使い方をしていると思います。ウッチャンさまぁ〜ず以外の芸人を目当てにするとちょっとがっかりするかもしれません。

エンジェルのメンバー以外でセリフがあった中で特によかったと思うのはカンニング竹山いとうあさこです。

 

総評

イロモノ枠ではありますが、笑いあり涙ありのいい映画だと思います。人を幸せにしたいという芸人たちの心意気がストーリーからも出来栄えからも感じ取れる作品です。僕自身はこの作品で三村がすごく好きになりました。本当にいい人なんだろうなあって思います。

ライオン・キング(原作) レビュー+フルCG版への期待と懸念

8/9に実写(フルCG)版が公開されるので、原作も見ておきたいと思い視聴しました(いつかの金曜日はサマーウォーズを見ていました)。

ディズニーには興味がある割に全く詳しくないので、時間があるうちに出来るだけ見ていきたいと思っています。

 

あらすじ

動物の王国プライドランドに君臨する偉大な王ムファサの息子として生を受けたシンバ。幼い息子に父は、王座につく者の心構え “サークル・オブ・ライフ”について説く。自然界は誕生と死を繰り返し、魂は失われることはない、と。しかし、王位を狙う邪悪な叔父スカーの罠にかかり、父ムファサは命を落とし、シンバは王国を追放されてしまう。月日は流れ、暴君スカーによって変わり果てた王国の惨状を知ったシンバは、自分の中に生きる父の魂に気づき、スカーと戦うべく立ち上がるー。

 

 

ライオンキングには2と3もあり、2はシンバがプライドランドを治めるようになってからの話、3はティモンとプンバァを主人公としたスピンオフらしいです。

 

感想

ストーリー

身内同士の相続争いという構図からおぼろげな日本史の記憶を想起しました。

スカーの抱えるコンプレックスはなんとなく理解できます。兄と弟という関係やシンバの誕生といった抗いようのない原因で王位を継げなかったとすると苦しい思いもあったでしょう。スカーがムファサを“兄”と呼びたがらないところにも彼の遣る瀬無さを感じます。

これは憶測にすぎませんが、シンバが一人っ子なのも“第2のスカー”を生まないようにというムファサなりの教訓からだったのかな、とも思えます。

 

ただ、実の兄や甥をなんの躊躇いもなく手にかけようとする残忍さとは裏腹に、スカーの小物っぷりは気になってしまいます。特定の思想があるわけでもなく、結局自分の都合のいいように統治することさえ出来ていなかった点は、悪役としてその域に達していないように感じました。邪悪な王として私腹を肥やしていて欲しかったです。戦闘能力もハイエナからの人望もイマイチですし、ラストでシンバに真相を告白するシーンも詰めが甘いと言わざるを得ません。

 

幼いシンバが持っていた“王”という立場へのイメージは「誰もが憧れる自由自在の権力者」という感じでしたが、成長してから過去の精算やその責任から逃れようとする描写が生々しく、大人になるということの意味を厳しく突きつけられた感じがしました。偉大な父の存在も余計にプレッシャーだったと思います。

実際のところ彼に選択の自由はありませんでしたが、それも王という立場の特殊さ故のものだと思います。運命と向き合うというのが作品の大きなテーマですが、一般人から見るとちょっと息苦しくも感じてしまいます。

 

プンバァとティモンもすごくいいキャラだったと思います。テーマが重めの作品ですが、陽気な彼らの存在が癒しになっています。

プンバァはハイエナに“ブタ”と呼ばれて激昂しますが、それ以前にシンバに“ブタ”といわれて怒らなかったあたりに彼らの絆を垣間見ました。

 

ビジュアル

OP、EDのタイトルロゴがバーンと出てくるところがすごく良かったです。

キャラクターのデザインも動物らしさと表情の豊かさをよく両立していると思います。

特にメスのキャラの女性らしさがすごくよく出ていたと思います。成長したシンバとナラがじゃれあってるシーンとか、ちょっとエロかった。

吹替で観ましたが、演技も全キャラ通してとても良かったです。

 

総評

責任というものが身近になってくるとかなり響いてくる作品だと思います。大人の責任、義務といったものをかなり厳しく突きつけてくる作品に思えました。この作品は非常に多くのテーマを抱えていますが、自分自身の立場もあってか特にこの部分を重く受け止めました。

一見野生的に見える世界観ですが、プライドランドは王政による社会です。スカーが招いた惨状はそんな社会のトップとしての能力の欠如がもたらした結果として描かれています。

僕はまだ学生ですが、社会に出たら強く生きなきゃいけないなと感じました。自分が大人になりきれていないので、正直少し息苦しさも感じました。

ただ、5年後10年後に見返すと全く違った印象になりそうな気がします。

 

ライオン・キング (吹替版)

ライオン・キング (吹替版)

 

 

フルCG版で注目したいところ

プライドランドの雄大な景色や野生動物たちの迫力がリアルで美しい映像で見れるのが非常に楽しみで、予告編からすでにワクワクしております。

 

気になるのが、キャラクターたちの豊かな表情ををリアル志向のフルCG版でどう描くかということです。リアルな動物たちに無理やり表情を貼り付けても気味悪くなってしまいますし、逆に表情がなさすぎてもセリフが浮いてしまいそうです。

syamu_gameに喋らされている犬(シャムとシャドだっけ?)とか、バラエティ番組で動物のおもしろ映像についてるアテレコみたいになるのが最悪のパターンです。

動物が喋る映画自体は珍しくはないのですが、それらの作品ではデザインがデフォルメされていたり人間らしい動きをするキャラクターが多く、リアル志向の映像だと前例は少ないように思います。

 

同様に、ミュージカル要素が活きてくるのかも気になります。歌わせるとなるとさらに難しいと思いますが、ライオンキングはやっぱり歌が重要な役割を担っているのでこの点も注目したいです。

 

ディズニーなのでその辺りは上手くやってくれるだろうと期待していますが、吹替版字幕版共に予告編でもちょっと懸念が残ります。

 

また、アラジンがそうだったようにストーリーが原作から変化するかどうかも注目したいです。

原作では上映時間が88分なのに対し新作では119分となっていました*1。予告編も含んでいるのかも知れませんが30分全部予告ということもないと思うので(15〜20分くらいが相場だと思ってる)、ストーリーにもどこかしら変化があるんじゃないかと予想しています。

*1:ライオン・キング - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画海外勢(?)のレビューが既に載っていますがまだ読んでいません

映画 アイズ (2008年 原題:The EYE) レビュー

明日が期末テストなので、怒りの映画鑑賞です。GYAOのウォッチリストはこれにて一旦消化できました。

 

あらすじ

角膜移植手術を受けたシドニーは、その日を境に見えるはずのないものが見え始める。原因がドナーにあるのではないかと考えた彼女は角膜提供者について調べ始めるのだが…。

2002年の同タイトル映画のリメイクらしいです。

 

概観

ホラーっぽさは外見からは感じなかったのですが、前半ホラー要素が多く「あっこれホラーなんだ」と気づきました。ただ恐怖表現もそこまで強くはないです。よくも悪くも洋ホラーらしくさっぱりしています。

後半はホラー要素もほとんどなく、感動的な展開でした。スッキリとしたいいハッピーエンドだったと思います。

 

設定・ストーリー

先天盲の主人公シドニーが視力を回復していく過程に物語が乗っかってきます。

“あるはずもないものが見えてしまう能力”を“見る”という行為自体に慣れていな人間に与えることで、恐怖や周囲から理解されない苦しみを増長しています。

ぼんやりとした視界に映る怪奇現象は、昔の粗いポリゴンのホラーゲームに近い怖さがあると思います。例えばバイオ無印なら、リメイク版よりもなぜかPS版の方が怖く感じたりしませんか?

ただ、どの恐怖シーンもあっさりしすぎというか後に引くものがなく、まとわりつくような恐怖感はありませんでした。ホラーとして見ると中途半端かもしれません。

 

この能力のことを抜きにしても、先天盲から視力を回復することによるストレスは生々しく表現されていたと思います。視覚以外の感覚まで散漫になる描写などは良かったです。いきなり世界の情報量が莫大に増えるわけですから、確かにキツイだろうなと感じました。

 

さて、物語が進んでいくと

あるはずもないものが見えてしまう能力=死が見える能力

だと明らかになります。これは元々ドナーのアンナが持っていた能力ですが、移植手術に伴いシドニーにこれが宿ったわけですね。

臓器(組織)移植によりドナーの魂が宿るという設定自体に新鮮味はありませんが、先述のように視覚的な能力を先天盲の人物に与えたのはいい設定だと思います。

 

ただ、病院の少女と路上でシドニーをすり抜けた女性がこの能力と黒い影(=死神?)の説明役として優秀すぎたためか、マンションの少年とカフェの女性の霊の役割が薄くなっているように感じました。中途半端な怖がらせ役として消費されてしまった感じが否めません。

特にカフェの女性が卓上に溢れた砂糖に残した手形は余計だったように思います。彼女が“あるはずのないもの”かどうかが不明瞭になってしまいます。(それが狙いか?)

 

火事を想起させる幻覚の数々も伏線として綺麗に回収されていましたが、少々分かり易すぎる感じもしました。

また、工房が火事になる幻視の中での叫び声が、吹替版だとスペイン語なのか英語なのか判別不能でした。ここは少し工夫して欲しかったです。

 

この物語のサビである国境付近の渋滞から人々を避難させるシーンですが、綺麗な伏線回収だったことだけでなく、シドニーの合理的な行動にも関心しました。

まずバスの乗客たちから避難させたのは賢いと思いました。ドアを叩けば車内に入れてもらえる可能性が高いこと、テロをほのめかせば乗客を動かしやすいこと、頭数が多いので他の車に乗る人々も扇動できることを考えると最適解だったと思います。

 

ラストシーンでシドニーに視力があったかどうかが気になってしまいますが、彼女の以前の暮らしぶりを考えるとそれほど重要なことではないのかもしれません。

それよりもむしろ、移植により瞳の色が変わっていたことから、シドニーが死を見る能力から解放されたことがわかり、その方が重要だと思いました。いつまでもあんなのが見えてたら病みます。

アンナの願いを叶え多くの人々を救い、シドニー自身も笑顔を取り戻して終幕。多幸感のあるいいハッピーエンドだと思います。ED曲も良かったです。

 

総評

若干粗も目立ちますが、いい映画だったと思います。どういうジャンルに分類すべき作品かわかりませんが、ホラー要素が立っている作品には珍しくすっきりしたハッピーエンドです。あまり恐怖表現がしつこくないので物足りないような気もしましたが、今思えばこれも見終わった後の幸福感につながっていると思います。この映画のおかげでテスト勉強より有意義な時間が過ごせました。(たすけて)

 

アイズ(字幕版)

アイズ(字幕版)

 

 

映画 ラン・ローラ・ラン 感想

GYAOで映画を漁っていたところ、あらすじが非常に面白そうだったので見てみました。

ちなみに、僕も見てから知ったのですが、逃走中のあのBGMはもともとこの映画の曲です。

 

あらすじ

裏金の運び屋である恋人マニがうっかり失ったボスの10万マルクを20分以内に工面し彼の命を救うため、ローラは走り続けます。

ドイツの映画で、舞台もベルリンです。

 

感想

まず、物語の始まりの演出がオシャレで期待感を高めてくれました。これについては後述します。

全体的にテンポが良くオシャレな映画で、すごく良かったです。個人的にはローラのビジュアルがかなり好きでした。顔もいいです。

上映時間が80分なのに対し、タイムリミットが20分なので一体どんな時間の使い方なんだと気になっていましたが、この映画では、ローラが走り続けた20分がパターンを変えて3回繰り返されます。一見するとループものに見えます。

基本的にはずっとローラが走っている映画なのですが、その道のりで起こることや結果、さらにはすれ違う人々の運命が彼女の行動の選択により大きく変わってしまいます。所謂バタフライエフェクトというやつです。

些細なタイミングのズレで世界が大きく変わってしまう様子が3回の“20分”の中で鮮やかに描かれていて面白かったです。断片的に描かれてきた事象同士の繋がりが明らかになったときは感動しました。非常によく練られた構造をしていると思います。

 

考察

見終わってみると、冒頭で紹介された2つの金言と警備員のセリフが非常に活きています。

我々は全ての探究を終えたとき、初めて出発点を知る

 T•S•エリオット

試合の後とは、試合の前のことだ

S•ヘルベルガー

それから警備員のセリフを要約すると

「人々は無数の問いに答えを探し、その過程で連鎖的に問いが増えて行くが、結局問いも答えも1つしかないのではないか。」

「(サッカーについて)ボールは丸くて試合は90分、それだけが事実であとは全て推測でしかない。」

といった感じになります。

 

金言に出てくるワードと物語中の事物の対応は

無数の問い→ローラの行動の選択肢

無数の問いの答え→ローラの行動から派生する影響

唯一の問い→ローラとマニはどうなってしまうのか

唯一の答え=試合後→ローラとマニが迎える本当の結末

探究=推測→“20分”の繰り返しのこと

出発点=試合前→ローラのバイクが盗まれたこと

事実→マニが裏金をなくしたこと

というように成り立つと思います。

 

つまり、この物語の場合は事実というのがマニが裏金を失くしたことまでしかなく、3つの“20分”はあくまで推測でしかないというのが私の見方です。最終的にローラとマニが迎える運命は当然1つしかないはずです。結局彼らの迎える結末はどんなものかわかりませんが、どんなものであろうと「ローラのバイクが盗まれたこと」という原因に帰属します。

すなわち、これはループものではないんじゃないかというのが私の出した結論です。そもそも時間が巻き戻せるわけないのですから。(当たり前だよなあ?)

 

ただ、「20分で10万マルク用意しないと恋人が死ぬ」という絶望的な状況にも一応は乗り越える術があることが3回目で示されています(だいぶめちゃくちゃですが...)。

「運命はなるようにしかならないし、なるようになる、出来ることをやればいい」といったメッセージ性もあり、見るものを励ましてくれる優しさも少なからず含まれていると思います。

僕たちも人生についてそんなに悩まなくてもいいのかも知れません。どんなに悩んだところで推測でしかなく、結局問いも答えも1つしかないのですから。

 

ラン・ローラ・ラン(字幕版)
 

 

 

映画 天気の子 感想

新海誠の作品は大好きなのですが、知ったのが割と最近なので秒速や言の葉の庭は劇場で見られませんでした。それが悔しかったのでそれ以降は欠かさず劇場で見ようと誓いました。

ただ、前作「君の名は。」はあまり合わず、今作もあまり期待していなかったというのが正直なところです。

ただ今作は非常に面白かったです。全体的に前作のスタイルに近いですが、かなりハマりました。

 

ビジュアル

新海誠作品の絵は綺麗なことで有名ですが、今作は今までの作品と比べても段違いで素晴らしかったと思います。

雨のシーンが多い点では「言の葉の庭」と似ていて、前評判でも雰囲気の近さが指摘されていましたが、ビジュアル的な面で「言の葉の庭」に通じるものはあまりなかったように思います。物語の構成上「雨」というものが担う役割が大きく違い、今作の雨は基本的に「言の葉の庭」のそれよりもっと強かで無機質に描かれています。これが陽菜さんの晴れ女としての能力が魅力的に写る理由なのかなと思います。

ファンタジー的な壮大さが強調されている点でも、むしろ「君の名は。」(以下前作という)に近いビジュアルだったと思います。ビジュアル面だけでなく、あらゆる点で前作に近いものがありました。

 

音楽

前作のように音楽が前に出てくるシーンが盛り上げ役を担っていますが、音楽の使い方は前作よりも良かったと感じます。前作はちょっとRADが立ちすぎて彼らのMVみたいになってしまっていたのが若干気になっていたのですが(特に前前前世)、今作は曲調も相まってかしっかりと映画を引き立てています。

予告編から思っていたのですが「グランドエスケープ」という曲が非常にいい曲で映画によくハマっていて素敵です。

通常の劇中音楽もいい味出してたと思います。それから、壮大な景観の中で無音になる演出も好きでした。

 

ストーリー

前作ほどめちゃくちゃな設定ではないので、割とスッと入ってきやすいと思います。

ファンタジーといっても世界そのものが現実離れしているというより、現実世界に天変地異と天気の巫女という要素が付加された感じです。

構成としてはやはり前作に近いものがあります。起承転結でいう結の部分の流れは特に前作を彷彿とさせます。

踏み込んだことは末尾に折りたたんで記します。

 

総評

かなり面白かったです。

前作で打ち立てたスタイルを踏襲しつつも、前作で感じたストーリーや音楽の使い方の雑さが改善されてより洗練された印象を受けます。

前評判で本田翼の演技が話題になりましたが、特に心配する必要はないと思います。むしろ夏美のキャラをよく立てていたいい演技だと思います。ただ喋り方に若干癖っぽさは感じるので、収録は大変だったんだろうなと推測しています。

適切な表現ではないかもしれませんが、改良版「君の名は。」といった感じの万人受けする映画だと思います。ただ、私はあまり詳しくないのでなんとも言えませんが、文字を読むゲームとの類似性が指摘されるように、刺さるところにもしっかり刺さる映画なんだと思います。

 

伏せて書きたいことたち

個人的な推測も含めてとりとめもなく書いていきます。ネタバレを含むのでご鑑賞の後にお読み頂ければ嬉しいです。

※7/26:一つ追記しました

※7/31:陽菜さんを陽奈と表記していたので改めました。

ストーリー・登場人物・考察など ストーリーの展開として、これほどまで真っ直ぐなボーイミーツガールだとは思いませんでした。なんとなく監督に大衆ウケが嫌いそうなイメージがあったので、ちょっと意外でした。前作もボーイミーツガール的なところはありますが、設定上共に過ごした時間(接触した時間)が非常に少ないので想いの育み方が特殊で、王道とは違うと思います。前作はそれがロマンチックでよかったのですが、今作はかなり正統派で攻めてきた感じです。
ストーリーに不明瞭な点も多いですが、「そんなことは2人にとってどうでもよくないか?」というスタンスを取ることで2人にフォーカスしているように感じました。敢えて枝葉の部分は切り落としているのではないかと思います。 ただそれでも気になるところはありますが...。
予告編からの印象で須賀さんは悪役っぽいなあと思っていたのですが、僕の想像通りではありませんでした。セリフと銃声の組み合わせだけでコロッと騙されてしまったのが恥ずかしいです。
そもそもの天変地異の原因として、人柱(というより生贄)が不足していたんじゃないかなと思います。空で横たわる陽菜さんに魚が群がっていましたが、あれは捕食のためなんじゃないかなと思っています。劇中のSNS上でも魚に臓器様のものを確認している人がいましたが、それはあの魚が生物であり、他の生物を食べる必要があるんだぞというアピールだと思います。魚が雨とともに降ってきていたのは、川に魚が浮くようなイメージで、彼らの死を表しているのではないかと考えました。魚だけでなくクジラのような塊も確認されていたので、空に何かしらの生態系があって、生態系全体の飢餓が天変地異の原因になっているんじゃないかなという推測です。この説を提言する以上人柱というより生贄という方がしっくりくるので以下そう呼びます。
巫女の能力は生贄になることへの対価だと思うのですが、生贄が不足している以上、陽菜さんがならなくても誰かが巫女になっていた(されていた)と思います。廃ビル屋上の鳥居が空に繋がるトリガーとなる描写がありましたが、多分他にもトリガーはあるんだと思います。
帆高くんが空へ飛べたのも、鳥居のトリガーを引いたからだと思いますが、彼は男性なので巫女にはなれず魚に拒絶され(少なくとも逃げられてはいた)、結果として陽菜さんを救うことができたんじゃないかと考えています。この辺は正直よくわかりませんが。
帆高の家出の理由はほとんど語られませんが、彼の持っていた「ライ麦畑でつかまえて(The Catcher in the Rye)」という小説がヒントになりそうです。実家に帰ってから問題なく高校を卒業して東京農工大に受かっているので放校になったわけではなさそうですが、彼を主人公ホールデンと見立てると、旅立ちのシーンにおいて彼の顔が傷だらけだったのも含めて通じるものがあります。