ゔぇにおの日記(仮)

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ライオン・キング(原作) レビュー+フルCG版への期待と懸念

8/9に実写(フルCG)版が公開されるので、原作も見ておきたいと思い視聴しました(いつかの金曜日はサマーウォーズを見ていました)。

ディズニーには興味がある割に全く詳しくないので、時間があるうちに出来るだけ見ていきたいと思っています。

 

あらすじ

動物の王国プライドランドに君臨する偉大な王ムファサの息子として生を受けたシンバ。幼い息子に父は、王座につく者の心構え “サークル・オブ・ライフ”について説く。自然界は誕生と死を繰り返し、魂は失われることはない、と。しかし、王位を狙う邪悪な叔父スカーの罠にかかり、父ムファサは命を落とし、シンバは王国を追放されてしまう。月日は流れ、暴君スカーによって変わり果てた王国の惨状を知ったシンバは、自分の中に生きる父の魂に気づき、スカーと戦うべく立ち上がるー。

 

 

ライオンキングには2と3もあり、2はシンバがプライドランドを治めるようになってからの話、3はティモンとプンバァを主人公としたスピンオフらしいです。

 

感想

ストーリー

身内同士の相続争いという構図からおぼろげな日本史の記憶を想起しました。

スカーの抱えるコンプレックスはなんとなく理解できます。兄と弟という関係やシンバの誕生といった抗いようのない原因で王位を継げなかったとすると苦しい思いもあったでしょう。スカーがムファサを“兄”と呼びたがらないところにも彼の遣る瀬無さを感じます。

これは憶測にすぎませんが、シンバが一人っ子なのも“第2のスカー”を生まないようにというムファサなりの教訓からだったのかな、とも思えます。

 

ただ、実の兄や甥をなんの躊躇いもなく手にかけようとする残忍さとは裏腹に、スカーの小物っぷりは気になってしまいます。特定の思想があるわけでもなく、結局自分の都合のいいように統治することさえ出来ていなかった点は、悪役としてその域に達していないように感じました。邪悪な王として私腹を肥やしていて欲しかったです。戦闘能力もハイエナからの人望もイマイチですし、ラストでシンバに真相を告白するシーンも詰めが甘いと言わざるを得ません。

 

幼いシンバが持っていた“王”という立場へのイメージは「誰もが憧れる自由自在の権力者」という感じでしたが、成長してから過去の精算やその責任から逃れようとする描写が生々しく、大人になるということの意味を厳しく突きつけられた感じがしました。偉大な父の存在も余計にプレッシャーだったと思います。

実際のところ彼に選択の自由はありませんでしたが、それも王という立場の特殊さ故のものだと思います。運命と向き合うというのが作品の大きなテーマですが、一般人から見るとちょっと息苦しくも感じてしまいます。

 

プンバァとティモンもすごくいいキャラだったと思います。テーマが重めの作品ですが、陽気な彼らの存在が癒しになっています。

プンバァはハイエナに“ブタ”と呼ばれて激昂しますが、それ以前にシンバに“ブタ”といわれて怒らなかったあたりに彼らの絆を垣間見ました。

 

ビジュアル

OP、EDのタイトルロゴがバーンと出てくるところがすごく良かったです。

キャラクターのデザインも動物らしさと表情の豊かさをよく両立していると思います。

特にメスのキャラの女性らしさがすごくよく出ていたと思います。成長したシンバとナラがじゃれあってるシーンとか、ちょっとエロかった。

吹替で観ましたが、演技も全キャラ通してとても良かったです。

 

総評

責任というものが身近になってくるとかなり響いてくる作品だと思います。大人の責任、義務といったものをかなり厳しく突きつけてくる作品に思えました。この作品は非常に多くのテーマを抱えていますが、自分自身の立場もあってか特にこの部分を重く受け止めました。

一見野生的に見える世界観ですが、プライドランドは王政による社会です。スカーが招いた惨状はそんな社会のトップとしての能力の欠如がもたらした結果として描かれています。

僕はまだ学生ですが、社会に出たら強く生きなきゃいけないなと感じました。自分が大人になりきれていないので、正直少し息苦しさも感じました。

ただ、5年後10年後に見返すと全く違った印象になりそうな気がします。

 

ライオン・キング (吹替版)

ライオン・キング (吹替版)

 

 

フルCG版で注目したいところ

プライドランドの雄大な景色や野生動物たちの迫力がリアルで美しい映像で見れるのが非常に楽しみで、予告編からすでにワクワクしております。

 

気になるのが、キャラクターたちの豊かな表情ををリアル志向のフルCG版でどう描くかということです。リアルな動物たちに無理やり表情を貼り付けても気味悪くなってしまいますし、逆に表情がなさすぎてもセリフが浮いてしまいそうです。

syamu_gameに喋らされている犬(シャムとシャドだっけ?)とか、バラエティ番組で動物のおもしろ映像についてるアテレコみたいになるのが最悪のパターンです。

動物が喋る映画自体は珍しくはないのですが、それらの作品ではデザインがデフォルメされていたり人間らしい動きをするキャラクターが多く、リアル志向の映像だと前例は少ないように思います。

 

同様に、ミュージカル要素が活きてくるのかも気になります。歌わせるとなるとさらに難しいと思いますが、ライオンキングはやっぱり歌が重要な役割を担っているのでこの点も注目したいです。

 

ディズニーなのでその辺りは上手くやってくれるだろうと期待していますが、吹替版字幕版共に予告編でもちょっと懸念が残ります。

 

また、アラジンがそうだったようにストーリーが原作から変化するかどうかも注目したいです。

原作では上映時間が88分なのに対し新作では119分となっていました*1。予告編も含んでいるのかも知れませんが30分全部予告ということもないと思うので(15〜20分くらいが相場だと思ってる)、ストーリーにもどこかしら変化があるんじゃないかと予想しています。

*1:ライオン・キング - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画海外勢(?)のレビューが既に載っていますがまだ読んでいません