ゔぇにおの日記(仮)

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映画 アイズ (2008年 原題:The EYE) レビュー

明日が期末テストなので、怒りの映画鑑賞です。GYAOのウォッチリストはこれにて一旦消化できました。

 

あらすじ

角膜移植手術を受けたシドニーは、その日を境に見えるはずのないものが見え始める。原因がドナーにあるのではないかと考えた彼女は角膜提供者について調べ始めるのだが…。

2002年の同タイトル映画のリメイクらしいです。

 

概観

ホラーっぽさは外見からは感じなかったのですが、前半ホラー要素が多く「あっこれホラーなんだ」と気づきました。ただ恐怖表現もそこまで強くはないです。よくも悪くも洋ホラーらしくさっぱりしています。

後半はホラー要素もほとんどなく、感動的な展開でした。スッキリとしたいいハッピーエンドだったと思います。

 

設定・ストーリー

先天盲の主人公シドニーが視力を回復していく過程に物語が乗っかってきます。

“あるはずもないものが見えてしまう能力”を“見る”という行為自体に慣れていな人間に与えることで、恐怖や周囲から理解されない苦しみを増長しています。

ぼんやりとした視界に映る怪奇現象は、昔の粗いポリゴンのホラーゲームに近い怖さがあると思います。例えばバイオ無印なら、リメイク版よりもなぜかPS版の方が怖く感じたりしませんか?

ただ、どの恐怖シーンもあっさりしすぎというか後に引くものがなく、まとわりつくような恐怖感はありませんでした。ホラーとして見ると中途半端かもしれません。

 

この能力のことを抜きにしても、先天盲から視力を回復することによるストレスは生々しく表現されていたと思います。視覚以外の感覚まで散漫になる描写などは良かったです。いきなり世界の情報量が莫大に増えるわけですから、確かにキツイだろうなと感じました。

 

さて、物語が進んでいくと

あるはずもないものが見えてしまう能力=死が見える能力

だと明らかになります。これは元々ドナーのアンナが持っていた能力ですが、移植手術に伴いシドニーにこれが宿ったわけですね。

臓器(組織)移植によりドナーの魂が宿るという設定自体に新鮮味はありませんが、先述のように視覚的な能力を先天盲の人物に与えたのはいい設定だと思います。

 

ただ、病院の少女と路上でシドニーをすり抜けた女性がこの能力と黒い影(=死神?)の説明役として優秀すぎたためか、マンションの少年とカフェの女性の霊の役割が薄くなっているように感じました。中途半端な怖がらせ役として消費されてしまった感じが否めません。

特にカフェの女性が卓上に溢れた砂糖に残した手形は余計だったように思います。彼女が“あるはずのないもの”かどうかが不明瞭になってしまいます。(それが狙いか?)

 

火事を想起させる幻覚の数々も伏線として綺麗に回収されていましたが、少々分かり易すぎる感じもしました。

また、工房が火事になる幻視の中での叫び声が、吹替版だとスペイン語なのか英語なのか判別不能でした。ここは少し工夫して欲しかったです。

 

この物語のサビである国境付近の渋滞から人々を避難させるシーンですが、綺麗な伏線回収だったことだけでなく、シドニーの合理的な行動にも関心しました。

まずバスの乗客たちから避難させたのは賢いと思いました。ドアを叩けば車内に入れてもらえる可能性が高いこと、テロをほのめかせば乗客を動かしやすいこと、頭数が多いので他の車に乗る人々も扇動できることを考えると最適解だったと思います。

 

ラストシーンでシドニーに視力があったかどうかが気になってしまいますが、彼女の以前の暮らしぶりを考えるとそれほど重要なことではないのかもしれません。

それよりもむしろ、移植により瞳の色が変わっていたことから、シドニーが死を見る能力から解放されたことがわかり、その方が重要だと思いました。いつまでもあんなのが見えてたら病みます。

アンナの願いを叶え多くの人々を救い、シドニー自身も笑顔を取り戻して終幕。多幸感のあるいいハッピーエンドだと思います。ED曲も良かったです。

 

総評

若干粗も目立ちますが、いい映画だったと思います。どういうジャンルに分類すべき作品かわかりませんが、ホラー要素が立っている作品には珍しくすっきりしたハッピーエンドです。あまり恐怖表現がしつこくないので物足りないような気もしましたが、今思えばこれも見終わった後の幸福感につながっていると思います。この映画のおかげでテスト勉強より有意義な時間が過ごせました。(たすけて)

 

アイズ(字幕版)

アイズ(字幕版)