ゔぇにおの日記(仮)

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『老人と海 』感想

ヘミングウェイ老人と海を読んだので、感想を書きます。

 

簡単に言えば、巨大な魚と海の真ん中で格闘し続け、鮫にそれを食い散らかされながら持って帰るというストーリーです。背表紙に謳われる通り外面的な描写が徹底されているため、魚や鮫と格闘するシーンは特にスリルがあり、読む手が止まらない作品でした。

さらに極限状態における精神的なバイオリズムやアンビバレントな感情がリアルな独白で描かれていて、老人の苦しみや情熱、虚無感を追体験しているようでした。

また、その徹底した外面的描写により自然を正確に描こうという試みを感じ取りました。常に極限を生きる魚や鮫と対等な立場に置かれた老人を通して、その厳粛さに強制的に引き込まれるような感覚です。それゆえ港に着いてからの少年との会話では緊張から一気に解き放たれたような安心感がありました。

そんな厳しい自然の中でも、文字を通して浮かび上がる朝陽や夕陽、それを反射する水面が美しくもあり、印象深い作品でした。

老人と海 (新潮文庫)